受信C/N0とは？
C/N0は搬送波対雑音密度比（Carrier to Noise densirty ratio）のことで，搬送波電力と雑音電力密度の比を表します．
回線設計などで計算されるこのC/N0は，ノイズに対して搬送波の電力の大きさを表すため，信号の明瞭度を表すものと言えます．
損失が大きくなればこのC/N0は下がり，受信することができなくなります．
つまり，このC/N0を受信機が受信できるレベルにしておく必要があるということです．
受信C/N0の導出
ここでは自由空間（物質が存在しない仮想的な空間）を仮定し，\(P_t\)を送信電力，\(G_t\)を送信アンテナの利得，\(G_r\)を受信アンテナの利得，\(P_r\)を受信電力とすると，受信点における搬送波電力\(C\)は，
\[C = P_r = P_tG_tG_r\left(\frac{\lambda}{4\pi d}\right)^2\]
となります．ただし\(\lambda\)は波長，\(d\)はアンテナ間の距離です．この導出については次の記事を参考にしてください．
自由空間伝搬損失とは？｜計算式をフリスの公式から導出
また，\(k\)をボルツマン定数，\(T_s\)をシステム雑音温度，\(B\)を帯域幅とすると，雑音電力\(N\)は
\[N = kT_sB\]
となります．よって，搬送波対雑音比\(\mathrm{C/N}\)は
\[\frac{C}{N} = \frac{P_tG_tG_r}{kT_sB}\left(\frac{\lambda}{4\pi d}\right)^2\]
と書けます．ここで，雑音電力\(N\)は雑音電力密度\(N_0\)を用いて，
\[N = N_0B\]
と表されるので，搬送波対雑音密度比\(C/N_0\)は，
\[\frac{C}{N_0} = \frac{P_tG_tG_r}{kT_s}\left(\frac{\lambda}{4\pi d}\right)^2\]
となります．これは，
\[\frac{C}{N_0} = \frac{\mathrm{EIRP}}{L_{fsp}}\frac{G_r}{T_s}\frac{1}{k}\]
と書けます．（次の記事を参照）
EIRPの意味と計算方法
これをdB表記すれば，
\[\mathrm{C/N_0} = \mathrm{EIRP}-L_{fsp}+G/T+228.6\]
となり，受信C/N0の導出ができました．
Eb/N0とは？
衛星における回線設計とは？｜回線マージンの計算方法まとめ