軌道傾斜角

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軌道傾斜角とは

衛星が地球を周回しているとき,衛星の軌道面と地球の赤道面がなす角度 \(i\) を軌道傾斜角と呼びます.

正確には軌道の角運動量ベクトルと地心座標系の単位ベクトル \(K\) のなす角が軌道傾斜角の定義になります.

そのため,軌道傾斜角は \(0^{\circ}<i<180^{\circ}\) の値で表されます.

軌道傾斜角による軌道の分類

順行軌道

軌道傾斜角が \(0^{\circ}<i<90^{\circ}\) の軌道を順行軌道(Prograde Orbit)と呼びます.地球の回転方向と同じ向きに衛星が周回します.ロケットは速度を得るために地球が自転する向きに打ち上げられるため,多くの衛星はこの順行軌道に存在します.

逆行軌道

軌道傾斜角が \(90^{\circ}<i<180^{\circ}\) の軌道を逆行軌道(Retrograde Orbit)と呼びます.地球の回転方向と逆向きに衛星が周回します.この向きに衛星を周回させるためには大量の推進剤が必要になるため,逆行軌道にある衛星は多くはありません.

極軌道

軌道傾斜角が90°付近の軌道を極軌道(Polar Orbit)と呼びます.地球の極(北極と南極)を通るためこのような名前がついています.太陽同期軌道はこの極軌道の1つであるため,地球観測衛星が多くこの軌道上に存在しています.

モルニヤ軌道

軌道傾斜角が63.4°の軌道をモルニヤ軌道(Molniya Orbit)と呼びます.この軌道では通常起こる近点移動を0にすることができます.ロシアのような高緯度地域で通信を目的とした衛星がこの軌道上に存在しています.

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