衛星通信などで定められたCCSDSパケットについて解説します.
CCSDSパケットとは?
CCSDSパケットは,CCSDS(The Consultative Committee for Space Data Systems,宇宙データシステム諮問委員会)が推奨する宇宙データ通信の規格におけるパケットのことです.
CCSDSパケットという言葉は正式には「Packet Telemetry」(CCSDS 102.0-B-5)において定められたSource Packetのことを指します.
CCSDSパケットは次のようなものです.
パケットは,大きく分けて
- PACKET PRIMARY HEADER
- PACKET DATA FIELD
の2つの部分からなり,PACKET PRIMARY HEADERにはパケットの情報,PACKET DATA FIELDには主にデータが入ります.
PACKET PRIMARY HEADER
PACKET PRIMARY HEADERは6オクテットの長さを持ち,
- VERSION NUMBER
- TYPE INDICATOR
- PACKET SECONDRY HEADER FLAG
- APPLICATION PROCESS IDENTIFIER
- GROUPING FLAGS
- SOURCE SEQUENCE COUNT
- DATA LENGTH
から成り,これらをすべて必須とします.
VERSION NUMBER
PACKET PRIMARY HEADERの0-2ビットはVERSION NUMBERを保持します.
VERSION NUMBERはこのSOURCE PACKETにおいては必ず’000’とします.
これはSOURCE PACKETではない別のパケットと判別するためのものです.
TYPE INDICATOR
3ビット目はTYPE INDICATORはパケットの種類を表します.
パケットがテレメトリ用であれば’0’,テレコマンド用であれば’1’とします.
PACKET SECONDRY HEADER FLAG
4ビット目はSECONDARY HEADERの存在を示します.
SECONDARY HEADERが存在すれば’1’,存在しなければ’0’とします.
APPLICATION PROCESS IDENTIFIER
5-15ビットはAPID(APPLICATION PROCESS IDENTIFIER)を保持します.
APIDはパケットが自分のものであることを判別するための11ビット長のバイナリデータです.
自分の宇宙機の中や通信路でこの値は一定である必要があります.
GROUPING FLAGS
16-17ビットはGROUPING FLAGSといって,そのパケットがグループのどういう位置にあるかを示します.
グループの最初のパケットは’01’,グループの途中のパケットは’00’,グループの最後のパケットなら’10’とし,グループに属さないパケットでは’11’とします.
SOURCE SEQUENCE COUNT
18-31ビットはSOURCE SEQUENCE COUNTです.
このフィールドは同一のAPIDを持ったパケットのカウントを意味します.
新しいパケットが生成される度にこのフィールドはインクリメントされます.
16384に達したら0に戻ります.
PACKET DATA LENGTH FIELD
32-47ビットはPACKET DATA FIELDの長さを表します.
PACKET DATA FIELDのオクテット数から1を引いた値がここに入ります.
PACKET DATA FIELD
PACKET DATA FIELDは任意の長さとすることができますが,その長さをPACKET DATA LENGTH FIELDで指定する必要があります.
PACKET DATA FIELDは
- PACKET SECONDARY HEADER
- SOURCE DATA FIELD
の2つから成ります.
PACKET SECONDARY HEADER
PACKET SECONDRY HEADER FLAGが’1’のとき,PACKET DATA FIELDの中にPACKET SECONDARY HEADERを任意の長さで配置することができます.
ここには補助的なデータを入れることができます.
SOURCE DATA FIELD
SOURCE DATA FIELDには任意の長さでデータを入れることができます.
まとめ
「PACKET TELEMETRY」(CCSDS 102.0-B-5)において定められたSource Packetについて解説しました.
これらの標準は現在「SPACE PACKET PROTOCOL」(CCSDS 133.0-B-2)にまとめられており,公式ページで公開されていますので,読んでみてはいかがでしょうか.